事業場外みなし 製薬会社MRに適用認めず

外資系製薬会社で外勤の医療情報担当者(MR)として働いていた労働者が、残業代などの支払いを求めた裁判で、東京高等裁判所(村上正敏裁判長)は事業場外みなし労働時間制の適用を認めない判決を下した。

勤怠管理システムの導入後は直行直帰が基本のMRについても、始業・終業時刻の把握が可能になったと指摘。労働時間を算定し難いときに当たるとはいえないとした。

一審の東京地方裁判所は、具体的な訪問先やスケジュールは労働者の裁量に委ねられており、上司の指示・決定もなかったとして、事業場外みなし制の適用を認めていた。

コメント:事業場外みなし労働時間制とは、労働者が事業場外で労働し、労働時間の算定が困難な場合に所定労働時間を労働したものとみなす制度です。

一定の業種(今回で言う外回りの業務を行う労働者など)の労務管理に非常に使い勝手の良い制度に見えますが、今は携帯電話の普及もあり、適用要件である「労働時間の算定が困難であるということ」についての判断が非常に難しく、監督署の調査や、裁判の際は適用を否定される可能性が高い制度となっています。

従って、労務管理として事業場外みなし労働時間制の適用を考えたとしても、労働時間の監理を行える余地が少しでもあるのであれば、通常通り労働時間の監理をしていただいたくことをお勧めしたいところです。

出典:労働新聞社事業場外みなし 製薬会社MRに適用認めず 始業と終業の把握可 東京高裁|労働新聞 ニュース|労働新聞社 (rodo.co.jp)