2025年問題が本格化──企業が備えるべき“介護と仕事の両立支援”とは

1.2025年問題とは?──介護離職の増加が企業に与えるインパクト

 2025年、いわゆる「2025年問題」が日本社会に大きな影響を及ぼします。これは団塊の世代が75歳以上となり、介護が必要な高齢者が急増する社会的な課題を指します。これに伴い、多くの働く世代が親の介護に直面し、介護離職や労働時間の減少といった問題が増加することが懸念されています。企業にとっては、重要な人材の離職リスクが高まるだけでなく、生産性の低下や採用難の悪循環を引き起こす可能性があります。

2.働く世代の“介護との両立”が当たり前の時代に

 介護が必要となる家族を抱える社員は、今や決して少数派ではありません。長時間の介護や通院の付き添いなど、従業員の負担は増加し、仕事との両立は大きなチャレンジです。加えて、介護期間が長期化するケースも多く、企業は従業員が安心して働き続けられる環境づくりを進める必要があります。

3.企業が取るべき3つの実務対応策

① 介護休業制度の整備と周知

 介護休業は法律で定められた権利ですが、実際に取得しやすい職場風土がなければ意味がありません。介護休業や短時間勤務、フレックス制度などの制度を整備し、全社員に周知徹底することが重要です。特に就業規則の見直しはポイントです。

② 柔軟な働き方(時差出勤・テレワーク等)の導入

 介護のために通院やケアを行う時間が必要になる場合、柔軟な勤務時間の設定や在宅勤務の導入は欠かせません。テレワーク環境の整備は、介護との両立だけでなく、働き方改革の一環としても効果的です。

③ 職場内の相談体制・風土づくり

 介護の悩みを相談しやすい職場環境も重要です。人事や労務担当者だけでなく、上司・同僚も理解を深めるための研修や情報共有を行い、孤立させない体制をつくることが求められます。

4.活用できる助成金制度

 介護と仕事の両立支援に関しては、厚生労働省の「両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)」などの助成金制度があります。これらを活用することで、制度導入の費用負担を軽減できるため、企業にとって大きなメリットです。社労士は助成金申請のサポートも含めて、企業の負担軽減に貢献できます。

5.まとめ──“今のうちの準備”が介護離職を防ぐカギに

 2025年問題は単なる将来課題ではなく、すでに現実の企業活動に影響を与えています。介護と仕事の両立支援は、これからの人材確保と生産性維持に直結する経営課題です。今のうちに準備し、社員が安心して働ける環境づくりを進めていきましょう。