令和4年度の労働基準監督署指導結果について

 東京労働局は、10月31日に令和4年度の監督指導の結果を取りまとめ公表しました。(長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施)

 この監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1ヶ月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象として行われました。

 対象となった4,673事業場のうち、違法な時間外労働が確認された事業場は、1,827事業場(全体の39.1%)このうち実際に1ヶ月当たり80時間を超える時間外・休日労働が認められた事業場は、648事業場(全体の13.9%)でした。

 2024年4月からは、時間外労働の上限規制の適用を猶予されていた業種(建設業、運送業、医師など)についても、時間外労働の上限規制の適用が開始されます。昨今の深刻な人手不足や働き手の高齢化の影響もあり、建設業、運送業などは、一人当たりの労働時間が長くなってしまっているケースも多いと思います。そんな中、2024年4月から労働時間の上限の規制が始まります。

 時間外労働の上限規制が適用となれば、特に運送業などは1人あたりの売上が減少すると予想され、減少した売上をカバーする方法の一つとして、働き手を増やすことが考えられます。働き手を増やすためには「労働条件の改善」や「働き方の柔軟化」など働き手が集まりやすい環境づくりが大切です。また、ITを積極的に活用し業務全体の効率化を図ることが不可欠です。

 この問題に対応するため、政府は2023年6月に「物流革新に向けた政策パッケージ」を発表しています。この政策パッケージには「物流の効率化」「荷主・消費者の行動変容」「商慣行の見直し」が盛り込まれている為、政府の対応にも期待したいところです。

出典:厚生労働省 長時間労働監督 | 東京労働局 (mhlw.go.jp)